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LONGINES CHRONOGRAPH 19.73N

メーカー:LONGINES
1912年 スイス製 17石
900 銀無垢 オープンケース
表中裏蓋蝶番式
リューズ捲き ダボ押し時合わせ



 ロンジン社のクロノグラフ懐中時計です。製造年は1912年(時計史年表:明治45年・大正元年)、今(2012年)からちょうど100年前のものになります。

 機械はロンジンオリジナルのキャリバー19.73N、リューズにあるボタン1つでクロノ機能を操作します。時計の日差は約+15秒以内(文字盤上平置き)、クロノグラフ機能もスタート・ストップ・リセット全て問題なく稼働します。ボタン操作もスムーズで、かつシッカリした手応えが大変心地良いです。

 文字盤は白セトに黒のアラビア時表示。外枠に分表示と18,000振動クロノ針用の目盛が配されています。秒針・クロノ針・30分計は黒色、長短針が金色なので時間が読みやすいです。短針に補修の跡があります。

 ケースは900銀無垢オープンケース、ロンジン社の「翼を持つ砂時計」のロゴが入っています。経年による使用感のみで大きな凹みや傷がなく非常に良い状態を保っています。表中裏蓋共蝶番式、ガラス風防です。


■ 外観 ■

長短針が金色なので時間が読みやすい。

中央に控えめな「LONGINES」の標記。

ダボ押しとリューズのプッシュボタン。

渋く輝く銀無垢ケースバック。状態良。

裏蓋オープン。

900銀無垢の刻印。機械Noと一致します。

翼と砂時計のロンジンロゴ。カッコイイですね。

中蓋のグランプリコイン。contadorは計量の意味。

中蓋オープン。複雑なクロノ機械が現れます。

中蓋の裏。

 機械全景。名門ロンジンの名機19.73Nと呼ばれるクロノキャリバーです。複雑に見える機械ですが、おおまかに3つに分ける事が出来ます。まず奥のテンプ部分ですが、ここは時計&クロノの心臓部になっています。中央には赤いルビー穴石を持つ輪列が並び、4番車の動力をクロノ針や30分積算計へ伝達します。そして手前にはレバーやバネが配され、ボタンによるクロノ動作を行います。

 作動機構に「ピラーホイール式」、伝達機構に「キャリングアーム式」が採用されています。ピラー式は動作が滑らかで耐久性が高いです(店主お気に入りのゼニス・クロノマスターと同じ方式です)。またリセットハンマーがクロノ用と分積算用でそれぞれ独立しているのも特徴です。

 分積算針の動きが秀逸で、クロノ針が60秒を過ぎる瞬間に「パッ」と1分送ります。これは見ていて非常にキモチがイイです!クロノ車裏の偏心カムによってこの動きが可能なのですが、手が込んでます。ロレックス・デイトジャストの日付送りも同様の機構です。

 OH後約2年前後との事で、実際に時計の稼働、クロノグラフ動作も全く問題ない状態です。ケース表面の銀の黒ずみと文字盤の清掃、クロノ機構への注油、あと30分計の針が半目盛ズレていましたので調整しました。

別角度から。機能美溢れるロンジンクロノ。

2973910 LONGINES の標記。

 クロノグラフ ■

12時00分00秒。各指針がビシッと揃っています。

12時位置に30分積算計。

クロノグラフスタート。クロノ針が回り始めました。

クロノ針が一周して戻ってきました。

60を過ぎた瞬間、積分計の針が1目盛動きます。

気持の良い動きです。1分に1度の楽しみですね。

2周目のクロノ針この位置でもう2分を指してます。

この調子でドンドン積算していきます。

 クロノグラフ機構の動きです。

 ・4番車同軸の「時計秒針」と「トランスミッションホイール」は常に接触・稼働しています。
 ・1回目の「プッシュボタン」の押し込みで「オペレーティングレバー」が「ピラーホイール」を回します。ピラー(柱)の凹凸によって「カップリングクラッチ」が「トランスミッションホイール」を「秒積算計(クロノ針)」に接触させ稼働を伝え、クロノグラフがスタートします。1分毎に「秒積算計」裏の偏心カムによって「分積算計」を瞬時に一目盛送ります。
 ・2回目の押し込みで「カップリングクラッチ」が「トランスミッションホイール」を「秒積算計」から離し、同時にブレーキが「秒積算計」を押さえてクロノグラフがストップします。
 ・3回目の押し込みでリセットハンマーが「秒積算計」と「分積算計」のカムを押し回し、針を帰零(ゼロ位置に戻す)させます。

ピラーホイール拡大。通常位置です。


トランスミッションホイールと秒積算車との間に隙間がある状態です。

ボタン1回押し。ブレーキへのレバーが僅かに押し上げられ、同時にカップリングクラッチへのレバーが柱の隙間に落ち込みます。

秒積算車のブレーキが外れ、トランスミッションホイールが秒積算車に接触してクロノグラフ針をスタートさせます。
ボタン2回目。ブレーキレバーが柱の間に落ち込み、同時にカップリングクラッチへのレバーが押し上げられます。

秒積算車にブレーキがかかり、トランスミッションホイールが秒積算車から離れてクロノグラフをストップさせます。

ボタン3回目。リセットハンマーのレバーが柱の間に落ち込み、元の状態に戻ります。

秒積算(クロノ)車と分積算車のカムにリセットハンマーが当たり、それぞれをリセットさせます。

 通称「ロンカラ」。ロンジン・カラフの意味です。カラフとはクロノグラフの古い呼称なのですが、なんでそう呼ばれたのかは不明です。ヴィンテージ・クロノグラフ最高峰、名門ロンジンの手巻懐中クロノグラフ、名機キャリバー19.73N、ダボ押し銀無垢ケース、時計もクロノ機構も完動品。古物懐中魂を激しく揺さぶられる逸品です。
■ サイズ・重量 ■

巾 51.82 o

重さ 96.9 g

■ ダイヤル部分拡大 ■



クロノグラフ覚書き

■2つの作動方式 (クロノグラフの各部品を作動させる方法)

 1・ピラーホイール方式…柱(ピラー pillar)状の歯車が特徴。柱と隙間の凹凸によって内部機構のレバーを作動させる。動作が滑らかで耐久性も高いが、製造や調整・修理の難易度が高い。高級機に採用多し。別名コラムホイール方式。ロンジンでは初期の懐中クロノグラフから、1940年代腕時計クロノグラフの傑作Cal.L30CHに至る全モデルに採用した。

 2・カム方式 …板カムの回転によって内部機構のレバーを作動させる。ピラー式に比べて製造や調整・修理がし易く廉価で整備性に優れているが、動作の円滑性や耐久性では劣るとされる。


■3つの伝達方式 (時計からクロノグラフへ動力を繋げる方法)

 1・キャリングアーム方式…4番車に常時接続回転している中間車を稼働レバーに載せ、スライドさせてクロノグラフホイールに接続し、動力を伝える。古典モデルに多い。眺望が良く、動作時の動きも楽しめる。製造し易く整備性に優れるが、歯車や部品の摩擦が比較的大きいとされる。

 2・スイングピニオン方式…上の中間車の変わりに二段式ピニオン(ミニ歯車)を使った方式。一段目の歯車が4番車に常時接続回転しており、軸の移動により二段目歯車がクロノグラフホイールに接続し回転が伝わる。摩擦やトルクロスが少なく、省スペース・低コストで量産向き。現行モデルで普及率が高い。

 3・垂直クラッチ方式…4番車と同軸で常時回転している摩擦車を、レバーが垂直方向に押し上げてクロノグラフホイールに密着させ、動力を伝える。そのため機械に厚みが必要で、メカが奥に隠れてしまう。しかしトルクロスや摩耗が少なく、正確な動作で精度が高い方式。


■ロンジンの懐中クロノグラフ開発の歴史
 1876年 20L、それをベースに1878年 20H
 それ以降は 19CH、19.73、18.89、19.73N、18.72 の順に開発。
 19.73Nが名機、18.72が完成形と呼ばれる。
 キャリバーの数字左二桁で機械の径を表す。
 今回の19.73Nなら、19×2.25o(≒1リーニュLigneスイスの単位)で約42.75o。


■ロンジンの歴史
1832 オーギュスト・アガシがスイス・ジュラ地方サンティミエで時計組立会社設立。
1862 甥のアーネスト・フランシロンが参加、新会社設立。
1867 「レ・ロンジン」でスイス初の時計の一貫生産工場を建設。
    最初のムーブメント「L20A」の生産開始
    パリ万国博覧会でその工場の懐中時計が銅メダル受賞。
1869 社名を「ロンジン」、「翼の砂時計」のロゴマークを使用。
1873 ウィーン万博で優秀賞受賞。
1879 世界初の秒針付きクロノグラフ「ルグラン」製造商品化。
1885 アントワープ万博で初のグランプリ受賞。
1889 パリ万博で2回目のグランプリ受賞。
    「有翼の砂時計」マークを商標登録。
1896 第1回アテネオリンピックでロンジンのストップウォッチが採用。
1899 アブルッジ公ルイジ・アマデオの北極海探検に採用。
1900 パリ万博で4回目のグランプリ受賞。
1904 J・E・バーニー隊長による北極探検に採用。
1905 ロンジン社初の腕時計を開発。
1911 アムンゼンの北極海探検、および南極点到達達成
1923 国際航空連盟の公式時計に採用。
1927 チャールズ・リンドバーグ世界初の単独大西洋無着陸横断飛行に成功
1929 バルセロナ万博で通算10回目のグランプリ受賞を記録。
1930 リチャード・E・バート提督の2年間に及ぶ北極の南方探検
1931 航空機位置確認用の「アワーアングル(時角)ウオッチ」発売。
1932 アメリア・アーハートがニューファンドランド島からアイルランドへ飛行。
1933 最初のF1レース ブラジルGPの公式時計に採用
1945 ロンジン社初の自動巻きムーブメント「L22A」を開発
1947 フライバッククロノグラフキャリバー30CH開発
1952 オスロ冬季オリンピックの公式時計に採用
1977 Cal.990を開発
1980 小型ムーブメント「L960」を開発。
    ラ・スクデリア・フェラーリの公式記録時計に採用。
1981 F1の公式記録時計に採用。
1983 厚さ1.75mmの小型ムーブメント「L961」を開発。

 



(2012.H24.9.21)


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