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H Samuel フュジー 925銀無垢 センターセコンド 鍵付■

メーカー:H Samuel
1885年 イギリス製 13石
925 銀無垢 オープンケース
表中裏蓋蝶番式
鍵捲き 鍵時合わせ



 H Samuel社のフュジー式(鎖引き)・スタリングシルバー(925銀無垢)・センターセコンド・鍵巻きオープンケース懐中時計です。製造年は1885年(時計史年表:明治18年)、今(2012年)から127年前のものになります。“H Samuel, Manchester”の専用のオリジナル鍵が付属します。「HS」のイニシャルがデザインされています。直径が53ミリ、重さが145グラム。大型でずっしりと存在感もあります。

 文字盤は白セトに黒のアラビア時表示を基調として、金色の時分針と細長い黒色のセンターセコンド針が配されています。外枠にはそのセンターセコンド用としてクロノグラフの様な秒表示があり、相対的に秒針が目立つ仕様になっています。内枠には“Centre Seconds Chronograph, H Samuel, 97 Market St, Manchester, 19729”の表示があり、「クロノグラフ」の名称が使われています。

 ケース2時方向の側面にはテンプを一時停止させるためのスライドがあり、これによって秒針を任意にスタート・ストップさせる事が出来る仕様になっています。

 機械には“Manchester 19729 H Samuel” の表示があります。フュジー式によくある「フルプレート+大きめのテンプ」ではなく、「3/4プレート+イングリッシュレバー+通常タイプのテンプ」の機構になっているため、ぱっと見にはアンクル式の機械に見えるかもしれません。

 鍵での時間合わせは針の軸ではなく、機械裏側の提げ環側に寄った鍵穴から行います。通常は機械の中心に配置されている2番車が、この懐中では提げ環方向に配されている為です。この歯車を介して真を文字盤側に通し、真の先に日ノ裏車を噛ませる事で、針合わせ操作を可能にしています。この摩擦が弱かった為に、時々ですが置き回りの症状が見られたのですが、今回のOHで改善する事が出来ました。


■ 外観 ■

ハック機能のスライドが配された銀無垢ケース。

個性的かつクラシック感の強い文字盤仕様。

裏蓋側。ナナコ模様が残っています。

裏蓋オープン。鍵穴が2つあります。

LONDON CYCLES OF HALLMARKS の刻印。

STERLING 925 SILVER 1885 を表しています。

「SET HAND」。針操作用の鍵穴です。

「WIND UP」。巻上げ用の鍵穴。

中蓋オープン。

3/4プレートの梨地機械。

 機械全景。クラシック&シンプルなフュジー式機械です。“Manchester 19729 H Samuel” の表示があります。この19729のナンバーは文字盤、機械、プレートの刻印は全て同ナンバーで揃っています。

 このナンバーの右側には、ガード付きの四角い鍵真があり、これがメインスプリング巻上げ用です。その右上の鍵真が時間合わせ用です。普通なら中央に位置している2番車に相当する歯車が、この位置に配置される様に設計されています。

 フュジー機械の基本的な組立て手順としては、まず2〜4番車・ガンギ車等の輪列類、続いて香箱・円錐車を全て組み立て回転を確認してから、チェーンを香箱に巻き付け、一端を円錐車に引掛けます。その後アンクルを取付けて輪列の回転を防ぎ、香箱真裏の万力車を半回転絞ってコハゼで止めます(こうする事で鎖が全部解けてもトルクの余力が残る)。しかし乍ら古い機械は個体差が大きいので、なかなかこの通りにはいかない事も多いです。

■ 分解 ■

文字盤を保護しつつ秒・分・時針を外します。

ハック機構。ケースのスライド部分との繋ぎ目。

ケースを開いて機械を出します。

注意深くピンを打ち出して機械を外す。

文字盤はクサビピンで止めてあります。

クサビは2本で止めてありました。

針送りの輪列の並びです。

特殊な形をしています。

香箱真に付けられた万力車とコハゼ。

組立で半周程巻上げる時の目印があります。
こちら側から、

輪列を外してみます。
フュジー(左)と香箱(右)を鎖で繋いでいます。

香箱の鎖を解きます。

2番車の真。緩いとスリップして置き回りに。

フュジーの円錐歯車から鎖を外します。

■ 洗浄・組立 ■

分解後。見慣れない部品が多いですね。

洗浄中。古い部品が見違える程綺麗になります。

テンプ部品を、

組立てます。

プレートに、

2・3・4番車に相当する輪列を設置。

香箱と円錐車を設置。

円錐車止めのラッチを設置。

まとめて押さえを取付ます。

ガンギ車とレバーアンクルは同一の押さえ。

テンプを止めるハックピン。停止位置です。

稼働位置。ケース側のスライドと連結します。

香箱裏の万力車。半回転ほど絞ってコハゼで止めます。

テンプ取付け。すぐに動き出しました!


2番車の真を摩擦調節しながら、

差し込んで取付けます。

針送りの輪列を、

取り付けます。

「19729」の刻印。文字盤と合っています。

文字盤を取り付けてケースに戻します。

時・分・秒針の3本を、

取り付けます。

 イギリス製の古い鍵巻きフュジー銀無垢懐中であり、外見・機能・機構共に個性的な仕様を兼ね備えた面白い懐中だと思います。これも古物懐中魂を激しく揺さぶられる逸品です。
■ サイズ・重量 ■

巾 53.23 o

重さ 145.2 g


 ちなみに文字盤に表示のある「マンチェスター マーケットストリート 97番地」は大体下の様な位置になります。

 

(2012.H24.12.2)


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