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リピーター機構の解説 (動画付き)


「カーン、カーン、カーン、キンコン、キンコン…」
癒しの音色を奏でる機械式クオーターリピーターの機構を見てみましょう。

文字板・筒車・日ノ裏車の3つを外すと、下図の様にリピーターの機構が出てきます。

Q機構の配置図

 各部品の説明 及び Q機構の作動順序 (文字で書くとややこしいです。じっくり読み込むべし!)


 まずリピーター機構に現時間を伝えなくてはなりません。その役目をするのが2つの判別カムです。

  a) 時間カム 現時間を判定する為の星形カムです。12毎の歯を持っています。
  b) Qカム 15分(クオーター)毎の判別カムです。筒カナ(分針軸)と一体で4つの段差があります。


 上記の2つのカムで現時間を判定しつつ、以下の順序で時間ゴングとQゴングを鳴らしていきます。

  1) Qボタン ぎゅーっと止まるまで押しこみ、パッと指を離します。
  2) Qボタン押さえ 1)Qボタンが浮いたり外れたりしない様に押さえます。


b)Qカムの裏側。0〜14分を伝える一番高い部分が二重になっています。正時毎にスライドして広がり(カシッと音がします)、Q読みレバーの読取りミス及び部品の破損を防ぎます。正時補正機構。

Qカムを抜いたあとの2番真部分。真のすぐ左上の噛み合わせは、Qボタンメインスライダーを押し込む時の力点です。しっかりネジ止とかではなく、ホントにただ押し込んでいるだけなんですね…。

  3) メインスライダー 赤線から緑線までの一番大きな部品です。1)Qボタンに押されながら左回転方向
               にスライドします。同時に緑線の歯で6)Q動力用スプリングを巻上げます。
               赤線部には8)時間ゴング用の小歯が12枚、9)Qゴング用の大歯が3枚あります。

               スライド量はa)時間カムによって決められ、1時→12時になる程大きくなり、その分
               8)時間ゴングを鳴らす回数も増えていきます。
               一方の9)Qゴングを鳴らす回数は、8)時間ゴングを鳴らし終わった後、さらに
               9)Qゴング用の大歯0〜3枚の内の何枚分を戻してから止めるかで決まります。

               その止めるストッパーの役割をするのが5)Qピンと4つの受け位置であり、
               その位置を決めるのが4)Q読みレバーです。

  4) Q読みレバー 1)Qボタンが押されて3)メインスライダーがスライドするのと同時にb)Qカムに向かって
              降りてきます。ハンマーの先端が当たる事でb)Qカムの4つの段差を読み、段差の高さに
              応じて5)Qピンの位置が決まります。

  5) Qピン 3)メインスライダーに固定されているピンです。b)Qカムの段差を読みに行った4)Q読みレバー
         の高さに応じて、5)Qピンを受けるギザギザのくぼみ(これをQピン受けとします)の位置が変わり
         ます。くぼみがピンを受けると、ピンと一体になっているスライダーも止まります。詳細に書きますと…。

          分針が0〜14分の時Qボタンを押すと、降りてきたQ読みレバーQカムの一番高い位置に
          当たり、その動きに連動して、ギザギザが一番左のくぼみでピンを受けるべく配置されます。
          一方スライダー時間ゴングを鳴らしながら左から右へスライドしながら戻ってきます。そして
          時間ゴングを鳴らし終り、続いてQゴングを鳴らそうとする直前のタイミングで、ピンが先程の
          位置のくぼみで受けられるため、スライダーは止まります。すなわちQゴングは鳴りません。

          分針が15〜29分の時は、降りてきたQ読みレバーQカムの二番目に高い位置に
          当たり、さらにギザギザは左から二番目のくぼみでピンを受けるべく配置されます。
          スライダーは同様に時間ゴングを鳴らし終り、続いてQゴングを1回だけ鳴らしたタイミングで、
          ピンが先程の位置のくぼみで受けられ、スライダーは止まります。

          分針が30〜44分の時は、降りてきたQ読みレバーQカムの三番目に高い位置に
          当たり、さらにギザギザは左から三番目のくぼみでピンを受けるべく配置されます。
          スライダーは同様に時間ゴングを鳴らし終り、続いてQゴングを2回だけ鳴らしたタイミングで、
          ピンが先程の位置のくぼみで受けられ、スライダーは止まります。

          分針が45〜59分の時は、降りてきたQ読みレバーQカムの一番低い位置に
          当たり、さらにギザギザは一番右のくぼみでピンを受けるべく配置されます。
          スライダーは同様に時間ゴングを鳴らし終り、続いてQゴングを3回鳴らしたタイミングで、
          ピンが先程の位置のくぼみで受けられ、スライダーは止まります。


逆さタツノオトシゴの様な4)Q読みレバー。くちばし部分でQカムに触り、高低差で生ずる角度によってQピン受けの位置を決めます。

ちょっとボケてますが、中心上でギザが上向きになってるのがQピン受けです。くぼみが4カ所あり、4段階のスライダー停止位置を設定します。写真は調整中のものでQピンが外れて下まできています。

  6) Q動力用スプリング クオーター機構を動かすための動力ゼンマイです。3)メインスライダーがスライド
                  しながら緑線の歯で巻上げます。時計の香箱とは別動力です。

  7) Q速度ギア ゴングを鳴らす速度を調節します。細い切れ込みを挟んで小歯車金属片が軽く接触して
             います。小歯車動力スプリングに直結しています。リピーターが鳴る時に小歯車が高速
             回転して金属片に摩擦しながら当たり、ジーーーという音を発します。

             切れ込みの間隔を狭くすると摩擦力が大きくなり、動力スプリングはゆっくりほどけ、
             メインスライダーもゆっくりスライドしてゴングも落ち着いた間隔で鳴ります。ただし
             摩擦が大きい分スライダーが戻りきらず、ゴングが最後まで鳴らない場合があります。

             逆に間隔を広く調節すると摩擦が減り、動力スプリングスライダーは早く戻り、
             ゴングも早く鳴ります。摩擦が少ない分、最後まで軽快に作動します。

             一度間隔を広げすぎて「カカカカカキコケキン!」と猛スピード鳴ったのには笑って
             しまいました。最後までしっかり作動する状態を維持しつつ、落ち着いた音色で鳴り
             響く様に調節するのがいい様です。

  8) 時間ゴング 時間の数だけ「カーンカーンカーン…」と鳴ります。1)Qボタンに押された3)メインスライダー
             がa)時間カムに当たって止まり、そこから戻る小歯の枚数分だけゴングが鳴らされます。

  9) Qゴング Q(クオーター・15分刻み)の数を「カンコン・カンコン…」と鳴らします(実際は時間ゴングとの
           2度鳴り)。3)メインスライダー時間ゴングを鳴らし終わった後、さらにそこからQピン
           くぼみに受け止められてスライダーが停止するまで、0〜3回鳴ります。


長い説明文になってしまいましたが、結局 8)9) の文に集約されていますね…。

リピーター駆動の基本的な構成の1つとして参考までに。
5ミニッツやミニッツリピーターはこれの発展系で、判別や打刻の
仕組みが追加されており、部品数も調整の難易度も増していきます。


時間ゴングQゴングの真です。棒とバネによって両側から押さえられています。主に棒によってゴングの位置と振りを調整します。

日ノ裏車・筒車・ワッシャを取付。さらに文字板が乗っかります。スケルトンにしたら機構も見れて楽しいでしょうけど、部品の仕上げや注油の見映えも考えないといけませんね。

 参考までにQリピーター機構作動動画です。解説をよく読み込んでから見ますとより理解が深まると思います。
 (リンク上で右クリック→「対象をファイルに保存」でDLして下さい)

  LANDERON Qリピーター動画 1 文字版下機構動作.mov (4.25MB)
   12時45〜59分の打刻です。文字版を外した状態ですので機構の動作がわかります。
   特にQ読みレバーQカムのどこに触っているか、そしてメインスライダーの動き等に注目です。
   一番のキモはQピンがQピン受けに入ってスライダーが止まるまでの動きを見極める事でしょうか。
   (正確に書くと、Qピンを受けてから、さらにQ読みレバーが戻って止まってますね…)

  LANDERON Qリピーター動画 2 ムーブとゴング動作.mov (3.92MB)
   同じ時間帯の打刻をムーブメント側から。こちらはゴングの動きが見れます。


なんだか汚くて古っちいくせしてかなり面白い懐中だったために
自分でも確認の意味のつもりでかなり細かく書いてしまいました。
メーカーの事、洗浄の事なども含めて楽しめた一品でした。





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