三銘堂TOP  時計画像 OH手順表 作業道具 覚え書 HPの記述 画像掲示板 直売 LINK 書籍


■ FIDELITAS BIG SILVER 

メーカー:無銘(フィデリタス?)
スイス製 製造年不明(1900前後?)
14石(元15石)  オープンフェイス懐中
銀無垢 0.800
リューズ巻上 ダボ押し時合せ


 古物感満点の大型オープン懐中です。直径が64mmあり存在感抜群の渋い銀無垢ケースです。中央の彩色も華やかなアクセントになっていて、外周に24時間表示があり、装飾針も使用されており、賑やかで楽しい文字盤です。


 裏蓋にはSLの彫刻が。鉄道時計?用としての24時間表示かと思われます。ケース側面のウロコの様な彫り込み模様も特徴的で、凹凸がはっきりしているので滑りにくい作りになっています。実用的な面にも配慮されています。

 裏蓋裏上部の刻印。銀無垢を示す「0.800」と鳥が右向いたスイスホールマークがあります。




 中蓋の刻示。これはメーカー表示や献辞というよりスペック表示の様です。「Spiral」は「らせん」の意味ですので「BREGUET」と合わせて「ブレゲヒゲ」。「Ancre Xigne Droite」(ジン・ドロイテ?)はアンクルのタイプ?でしょうか。「15RBIS」は15石。「Fidelitas」については不明です。メーカーではないようです。


 OH後の機械です。大型の部品はそれぞれ傷みもなく大変良い状態です。押さえはガンギ車と4番車さらに3番2番車用に分かれています。テンプは大きくゆったりと安定した慣性モーメントの動きを見せています。


 OH前はやはり経年相応に汚れや不具合などがありました。特にケースや針・提げ輪など外側の部分にダメージがありました。ただこれだけ大きい物ですので少々の汚れは掃除のしがいがあるというもので、逆に取り組む意欲にも積極的かつ強いものがありました。

 まず文字盤上の微細なカス汚れ。ガラス周辺下とベゼル間の錆とカスのこびりつき。ケース模様の全ての凹みにドロが固まった様なこびりつき汚れ。24時表示に欠けとヘアラインがあります。

 針はこの通り。装飾針ですが太く丈夫で形状的な折れや欠けはありませんが錆が目立ちます。



提げ輪は交換品らしく穴と合っていません。接合部がとがっていてリューズのギザギザに当たっていました。巻くときガリガリ音がするほどです。さすがにこれだけ大きな提げ輪は見あたらず、この部品を直接改良する事に。

 蓋の裏側。SLのプレートをハンダ溶接?した痕が少々荒く残ってしまっています。修理された跡かと思われます。左魚のホールマークと「202」の数字が見えます。


 文字盤を外す。ダイヤ型の針座(ワッシャ)は珍しいですね。各部に緑青とホコリ汚れ。



 地板側のテンプ伏石は残念ながら破損したか紛失したとみられます。スベリの良さそうな金属板が使われています。油が固まっていました。元々15石なのですがここで1つ無くなってしまっているので、14石となります。

 チラネジ付きバイメタル巻上ヒゲテンプ。巻上の端末曲線が若干微妙な感じですがしっかり稼働しています。


 アンクルはバランサー付きの特殊な形状です。これが「Ancre Xigne Droite」なのでしょうか。アンクル石は側面から挟まれています。耐久性が良さそうです。

 リューズのキチ車ツヅミ車や丸穴車の周辺は一番汚れが激しいです。乾いたグリーズにホコリが混じってこびりついています。

 香箱の中の油もかなり劣化しています。



 押さえ側のテンプ伏せ石。こちらは無事です。大きく厚い石が使われています。

 分解後。やはり各部品が大きく、仕分皿一つでは足りません。

 汚れ、サビ、緑青、こびり付き、油カス、そして表面処理の確認。掃除と洗浄だけで2日くらい掛けてます。楽しみながら、じっくりとまったりと…笑。

 組立。地板に香箱と2番車、リューズ部品を置く。



■機械標記■

中蓋
Fidelitas
Spiral
BREGUET
Ancre Xigne Droite
15 Rubis

裏蓋
スイス銀無垢ホールマーク
0.800
202


プレート
32 5510



 押さえに角穴車・丸穴車、リューズを取り付け。

3番車に押さえアームを取り付け。

4番車、ガンギ車とアームを取り付け。ザラ回しを確認。

アンクル取り付け前。

取り付け後。アームのでっぱりは上にきます。

 テンプを取り付け…動き出しました!

 各動作を確認します。

プレート文字盤側に刻印。「355510」。

時合わせ各車とダイヤワッシャを取り付け。。

文字板を取り付け。このカケが惜しいですね。

針も磨いて取り付け。

蓋は表裏とも蝶番式です。


 ケースも念入りに汚れを落とし、銀磨きで仕上げをしたところ見違えるように綺麗になりました。銀製のケースは比較的メンテし易いと思います。仕上がり具合が想定できるので楽しんで作業できます。ケース周囲模様の凹みにこびり付いた汚れは特に頑固で、ほじくり出し・ブラシ掃除・超音波洗浄・銀ミガキ・ベンジン洗いのフルコースでしたが、鈍く渋い輝きが甦りました。


 側面の深い模様が銀の輝きと共に復活しました。




 光によってこれだけ浮き上がります。ドットとダイヤ柄の模様がより克明に。ハンダ溶接の強度が落ちてSLプレートとケースの間に僅かに隙間が空いていました。防塵対策も兼ねてクリア製の金属用接着樹脂で補強しました。

 蝶番部分はゆがみなく丈夫です。大型のプラ風防とベゼルの間に隙間ができてました。風防を外して掃除し、付け直す際に同じ樹脂で透明に埋めて補強しました。



 提げ輪用の穴が特殊でかなり大きい作りになっていました。もとの尖りを削って磨き、リューズに当たらない様にして、輪を絞って調節しました。元々代替えの輪でしたので、これ以上絞ると引っかかりが出来るため、隙間を少し残しています。外れて落ちてしまう様な事はありません。

 サイズ・重量

直径どーん 64.25 mm。

重量ずっしり 147.2 g。

 昔の時報時計(据え置き型)と比べても厚さ重さで勝っています。さすがフィデリタス(?)。

 19セイコーと3つ並べてみる。
(当初↑は簡単だったですね…)

(2007.H19.04.12)




三銘堂TOP

時計画像

OH手順表

作業道具

覚え書

HPの記述

画像掲示板

三銘堂直売

LINK

書籍