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■ HEBDOMAS ARNEX 8Days 

メーカー:ヘブドマス
スイス製 1980年代以降?
15石  オープンフェイス懐中
ベースメタル?
リューズ巻上 リューズ引き時合せ


 ヘブドマス15石8日巻きオープンフェイス懐中です。

 このヘブドマス社の8日巻きはフルに巻き上げた状態から8日間動き続ける長時間稼働ムーブメントです。特徴は長時間稼働を可能にする為の背面側スペースを全て使った大きな香箱と、何といってもテンプの動きをヒゲ側から見ることが出来るユニークな配置の文字盤です。背面を香箱だけのスペースにするため輪列機構を全て文字盤側に配置する必要があり、秒針を無くすかわりに装飾された二足アームを使って左右対称にすっきりさせる等テンプの見せ方も工夫されています。

 1900年前から生産されていた(現在は生産中止?)ので古い物・アンティークの物はダボ押し機構が多いのですが、近年でもエポス社などからヘブドマス連名で懐中時計・腕時計が販売されています。機構もダボ押しではなくリューズ引き機構です。特徴のある文字盤も引き継がれています。

 今回の時計もARNEX社から1980以降に販売された物かと思われます。機構もリューズ引きで、テンプの材質やムーブメントの各部品も新しいものです。大きなトルクのかかる巻きバネもヘタリが無く安定した稼働を保っています。



 リューズ・提げ輪も歪みなくしっかりしています。


 裏蓋の飾り。鋳造物?。「SCIENTIA(スキエンティア)」はラテン語で知識の意。胸の造形が若干写実的です。

 裏蓋内側の刻印。ARNEX TIME Co.INC. SWISS。ARNEX TIME 社はあまり知られていない時計メーカーですがビンテージ物のクロノグラフなどに名前を見る事があります。

 背面一杯の大きな香箱。8日巻き機構の特徴の一つです。リューズを巻くとこの大きな香箱が回転します。
表記については下記参照。


 香箱の蓋を外す。大きく強く長い巻きバネです。中央の2穴ネジで蓋を止めているのですが、このネジだけでは緩んだだけで大惨事(バネの飛び出し)の危険があり、心許ない感じがします。もう一つ止めネジがあってもいいのではと思います。なんか気になるネジですがあまりいじらない方がいいでしょう。

 8日巻き機構のトルクは非常に大きいため余計な力が掛からない様に、画像の様に巻き止まりでスライドさせる工夫がなされています。リューズを一杯に巻くと時計の中で「カシャン」と音がしてバネが滑ります。バネが切れている訳ではありません。巻き上げ操作はゆっくりとジェントリーに行います。

  香箱には閉じ蓋が無いので地板の各輪列ホゾ・穴石・カンヌキ回りに隣接しているためゴミやホコリの進入には弱いと思われます。大きな香箱が回るのを見るのは楽しいですが、裏蓋を開ける時にはホコリなどに注意が必要です。


■標記■
文字盤 HEBDOMAS
ARNEX 15JEWELS
SWISS MADE
8JOURS 8DAYS

ムーブメント HEBDOMAS
SWISS MADE
101

裏蓋内側 ARNEX TIME Co.INC.
SWISS

 
香箱 ARNEX TIME CO INC
FIFTEEN 15 JEWELS
UNADJUSTED
8 JOURS
MILAN 1916
PARIS 1900
CHIGAGO 1902
GENEVE 1896
ANCRE
BRUXELLES 1910
QUALITE SUPERIEURE
GARANTIE
SWISS MADE



 文字盤を外す。筒カナとテンプが同面にあるのがやはり面白いです。

 地板の刻印。HEBDOMAS SWISS MADE

 同じく 101 の刻印があります。

 テンプは二足アームの中央にあります。

 平ヒゲのシンプルなテンプです。チラネジにはネジ溝が切ってはありますが、ドライバーを差し込む為のマイナス溝がありません。ペンチ等で挟んで回すのでしょうか。材質は判りません。ヒゲ成形は綺麗に等間隔で巻かれていて勢いのある振り運動をしています。

 大きな伏せ石です。各部品も新しく綺麗でネジのヘタリもありません。




 アンクルはネジ2本でしっかり止めています。


 ガンギ車。地板に対してアンクル共に高い位置にあります。

 裏面からの香箱のトルクを表面に伝える伝達歯車。8日巻きならではの部品です


 分解後。

 洗浄。

 地板。汚れ・サビが無く大変綺麗です。

 各歯車を設置。

 押さえを取り付け。

 ガンギ車・押さえを取り付け。

 カンヌキ回りの部品。

カンヌキを押し下げるオシドリの形が面白いです。

 バネを香箱に巻き戻す作業に苦心惨憺。9割程は手作業で出来るものの最後が難しく、試行錯誤の末この方法に。万力の力の入れ具合にもコツがあります。


 バネ外端がこの様にミゾにはまり、巻き過ぎると次のミゾまでスライドします。写真の様に外端の1週程はバネが2枚になっていてミゾに押し付ける力を強くしています。

 香箱の巻き芯。8日巻きの強い力を、この細いピンで支えています。

 香箱を戻す作業は難しくありませんでした。被せてネジ止めです。

 ザラ回しをしっかり確認後アンクルを取り付け。

テンプ部品を組み立て。

 取り付けます。トルクの強い独特の慣性モーメントを持った反復運動です。

 小鉄車・中間小鉄車・筒車・針座を設置。


文字盤と針を取り付けます。ヘアラインや欠けの無い綺麗な文字盤です。

 両側の金彩模様。

 ネジを逆回転させケースに押し付けて固定します。

 裏蓋を開けると全面に香箱が。リューズを巻くとこれが回転してバネが巻かれていきます。

巾は約50mm、重さは114gあります。


 ヘブドマス8日巻きは一度巻き上げると掛け時計並に8日間も稼動し続ける懐中時計です。その機能を持たせるために香箱や伝達歯車・各部品の配置など随所に工夫が見られ、面白い時計だと思います。一見してそれとわかる外見も人気が高いです。

 現在慣らし稼動6日目ですが、テンプの振りは一定で変わらずかつ力強い反復運動を続けています。果たして8日目までまたそれ以上動くものなのか楽しみです。


(2007.H19.05.28)




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