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■ ASTRA Quarter Repeater ■  2・動作編はこちら

メーカー:アストラ?
スイス製? 1880年前後?
16石 GF?
リューズ巻上 ダボ押し時合わせ
表裏蓋共蝶番式



 文字盤に「ASTRA」と銘のあるオープンフェイス懐中です。ダボ押し式で表・裏蓋ともに蝶番式、アンクルや丸穴車の裏(後述)、文字盤を押さえているガラス枠の形状などから1880年(時計史年表:明治13年)前後のスイス製かと思われます(はっきりした根拠がなくあやふやですが)。ケースの材質も標記が無いので不明です。外観からはGFかなと思います。

 白瀬戸文字盤に黒のローマ時標記、細身の黒スペード針の組み合わせはクラシック感が強くシンプルな外観を持っています。中心から8時位置に薄くヘアラインがあります。状態は時計・リピーター機構共に動作しますが、それなりに使用感と汚れもありました。ジャイロ歯車の真がサビていたため(後述)リピーターの打刻が途切れ気味で、また中蓋も欠品しています(蝶番のヒンジ部分は残っていました)。

 このクオーターリピーターの機構ですが、「リピーター用の香箱(巻きスプリング)を持つ2ゴング式」ではなく、「板バネ1枚を動力とする1ゴング式」になっています。ベルの役目をするワイヤーも当然1本になります。

 2ゴング式と比較すると打刻のペースに若干のムラが生じる様な気がします。12時45分〜59分ではバネを目一杯使ってフル打刻するので元気良く聞こえますが、1時15分〜29分での打刻では1時を知らせる「チン」と、その後の4分の2を知らせる「チンチン」の間が少し間延びして聞こえます。

 その「間の差」がいかにも機械式らしくてちょっと面白かったりします。


 参考:三銘堂では過去に2つピーターを紹介しましたが、どちらも2ゴング2リング式でした。

E.GUBELIN LUCERNE ミニッツリピーター
 このE・ギュベリン・ルツェルンのミニッツリピーターではゴング2つが横に並んで配置され2本のリングを打つ事で音に巾を持たせていました(動画あり)。

HAHN LANDERON EXACT クオーターリピーター1 
 アーンランデロン・イグザクト(読みは適当)ではゴングを上下に重ねて2つ配置して2本のリングを叩いていました(こちらも動画あり)。



 蝶番は若干緩め。左側面のスライダーを上に滑らせるとリピーターが作動します。

 裏蓋はプレーン。


 中蓋が無く裏蓋を開けるとすぐ機械が見えます。

 裏蓋内側。画像上部に凹みがあります。

 PLAQUE OR JF・ の標記と ☆ASTRA☆ のロゴ。

 55749 。



 機械全景。梨地マット仕上げの機械です。画面右に中蓋のヒンジ金具が残っています。石数はテンプから3番車に使われる通常の15石に加えゴング押さえの見せ石に1石が使われていて合計16石です。テンプの隣に時打ち用のゴングが1つ配置されており、時間の数と15分(クオーター)のカウントをこの1つのゴングで打つ様になっています。


■標記■
文字盤 ASTRA

ムーブメント ☆ASTRA☆
+10090
+334
8668
AL

 
裏蓋内側  PLAQUE
OR
JF・
☆ASTRA☆


ケース 33166



 ガラス風防も蝶番式です。文字盤と機械を押さえる役割も兼ねています。

 ネジを緩めてリューズを抜く。


 ダボにも留めネジが。

 強く締め過ぎ?若干の変形が見られます。

 提げ輪にも歪みがありました。

 歪みを整えます。

 ケース裏側。スライドとリピーターレバー接続部。

 文字盤を外すとリピーター機構が現れます。

 文字盤には足が無く、枠の段差での嵌め込み式でした。取り付け時には秒針の接触に注意です。

 十字マークに334 の数字。


 ケースの枠に 33166 。

 テンプ伏せ石のそばに 8668 (8998?)。

 押さえの裏に隠し?マーク。ハートにALとイカリのマーク。ちょっと興味深いです。

☆ASTRA☆ のロゴマーク。十字に10090。


 時計部品の分解。


サビや頑固な油の癒着を取ります。下にダンボールを敷くと適度な滑り防止・汚れ防止になります。

ケースの清掃。左が作業前、右が清掃後。微細な疵や油脂が取れ深みのある光沢が現れます。

 油以外にも埃や微細な汚れが出てきます。


 リピーターのジャイロ部品。動力とゴングの間で回転する事で打刻速度をやんわりと調速します。

 回転の遠心力によって半円状の翼が開く様になっています。

 ここがジャイロ歯車の真を受ける穴。錆による癒着寸前という状態でした。

 真の方にも錆が付着。材質からするとこちらが先に錆たのかもしれません。

 穴周辺の錆を除去します。こちらは割と簡単に落ちてくれました。

 やはりこちらが錆の発生源。削って磨いてやっと落ちました。

 ユニット部を元に戻します。穴がら見えているのがジャイロ部分です。これがくるくる回ります。

 これが丸穴車の裏。この様な放射状にミゾのある形状のものは古い時計に多く見られます。

プレート側のテンプ用穴石。

伏せ石を取り付け。上に点線の印が付いています。

ゴングはリングの根本を打つ様になっています。

3・4番車、ガンギ車、アンクルの穴石。

キチ車・ツヅミ車、香箱・3・4番車を設置。

押さえを取り付け。

角穴車・丸穴車を取り付け。

アンクル部品一式 触覚のようなバランサー付です。

爪石はアームの金属に挟まれています 。

アンクルを取り付け 。

テンプ部品一式を組み立て 。

バイメタル切りテンプチラネジ付き巻き上げヒゲ。


テンプ取り付け 。元気良く稼働を始めました!(このフレーズが出ると安心)


巾のある巻き上げヒゲです 。

文字盤を取り付け。


ケースに入れ針を取り付け完成です。古物感も抜群で
リピーター付きの古いダボ式スイス懐中が蘇りました。
ずっしりと大きく存在感もあります。


 直径 53.36 mm。

 重量 100.5 g。

 久しぶりのリピーターです。個体の状態としては錆や汚れが多く中蓋の欠品もありましたが、時計もリピーターも完動してくれました。歩度としてはさすがにクロノメーター級とはいかず3〜5分の誤差があります。せめて平置きで1分以内には収めたいと調整中です。

 動作の際スライダーの尖っている部分に指先を引っかけてスライドさせていたのですが、それなりに力もいるので指先が痛くなってきました。むしろ指の腹全体を当ててケースのカーブに沿うようにスライドさせてやる方が楽に作動出来る様です。

 折角のリピーターネタなのでリピーター部分の動作解説も予定しています。リピーター機構側の動画もUP予定です。


 下にゴング動作の動画をUPしました(デジカメの動画機能なので粗いです)。

12時&45-59分位置のフル打刻です。再生環境のある方は右クリックから「対象をファイルに保存」でOKです。

ASTRA クオーターリピーター ゴング動作.MOV (3.6MB)


(2008.H20.02.20)


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