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豪華装飾機械 シリンダー鍵捲銀懐中 ■


特記:機械画像

メーカー:不明
1850年前後? スイス製 8石
800銀無垢オープンケース
鍵捲き 鍵時合わせ
表中裏蓋蝶番式



 豪華な装飾ムーブメントを持つファンシー文字盤・シリンダー脱進機の銀無垢懐中です。製造年は恐らく1850年時計史年表:嘉永3年)前後まで遡るかと推測します。160年前江戸時代のものですね。アメリカではウオルサム(前身)発祥の頃になります。精度の高い鉄道仕様の量産で工業的発展を見せたアメリカですが、スイス・イギリスにはさらに古い黎明期からの個性的な懐中があり、それがまた魅力の一つとなっています。

 年代の古い懐中ですが文字盤など外見的に摩耗が見られる他は特に目立った欠損が見られません。機械自体の稼働も順調で、シリンダーテンプの振り角度も大きく「チャカッチャカッ」という独特の稼働音があり、日差も1分前後という大変良い状態を保っています。


■ 外観 ■

角の取れた丸平べったい古スイス銀懐中です。

提環もシンプル。リューズやボタンもありません。

裏蓋の図形と草花模様。相応の摩耗あり。

裏蓋は軽く開きます。鍵捲・時合せ穴あり。

No.17887 Lepine a Paris
Hours CYLINDER ESCAPEMENT
FOUR HOLES JEWELLD

中蓋はメタル製。
コジアケで開けます。
豪華装飾ムーブメントが姿を現します

 機械眺望。一見地味で手熟れた外見を持つ銀懐中ですが、この機械を見るとその豪華さにまず驚嘆します。プレート、ブリッジ、香箱、押さえ、ラッチガード、さらにはテンプに隠れる所にまで精緻な模様が刻み込まれています。基本は草花模様ですが、部分的に図形モチーフも使われています。

 またブリッジ等の部品そのものが模様に合わせて成型されており、緩急針の両翼にはリーフ模様の削り出しまでされているという手の込みようです。この凝った機械の眺望はやがて雲波の漂いを連想させ、天空の雲海黄金花畑といった錯覚に陥ります。このような心地良い錯乱?を与えてくれる懐中には、出会う機会もなかなか少ない事と思います。

 いずれの部品細工も素晴らしい為、丁寧にハケ洗いと洗浄機にかけ、また撮影にも時間がかかりました。部品1つ1つに鑑賞に堪え得る美しさがある為、画像を特記として別のページにUPしようと思います(このページからもリンク予定)。→
特記:機械画像


 分解・刻印 ■

銀ケース。表蓋蝶番は別角度で付けられている。

文字盤を外す。脚のネジ止めではなく被せ式。

文字盤中央に繊細なフローラル彫金。

裏打ちでローマ数字を浮かせています。

文字盤裏。ILG?

テンプ下の穴石と伏石。

ネジは鉄製?錆が多いです。

ガンギ・4・3番車受け板。図案化模様の彫金。

8 42303。

17887。

G 17887。

ARGENTエンブレム。スイス製800銀のマーク。

 洗浄・組立 ■

彫金部の汚れを丁寧にハケ洗い。

劣化油やゴミがミドリの粉となって落ちてきます。

洗浄前。彫金凹部に緑塵が付着しています。

洗浄後。液中反射でピントがボケる。

同じく洗浄前の緑塵。

同じく洗浄後。全ての彫金部品をチェックします。

洗浄機で再度洗浄します。

彫金部品に輝きが戻りました。

地板の部品取付部以外にも彫金が。

ガンギ・4・3番受けを、

裏側より、

取付けます。

この様になります。

角穴車押さえを、

香箱ブリッジに、

取付けます。彫りが凄いです。

香箱・ブリッジを、

取り付けます。

ラッチガードを、

取り付け。何処に付けたか良くワカラン・笑。

2番車とブリッジを、

取り付けます。

3・4番車受けを、

取り付けます。この2つの石は飾り石ですね。

格子模様のガンギ受けを、

取り付けます。ガンギ下の穴に、

テンプ受けを、

取り付けます。ザラ回しを確認。回ってます。

ユニークな形状のテンプ受けと部品を、

組み立てます。

シリンダー部拡大。ここにガンギ爪が当たります。

テンプ取付け。元気よく動き出しました!

 組立直後のムーブメント。この時ばかりはしばらく見とれてしまいました。雲海黄金花畑、の雰囲気が写真で伝わるでしょうか。この画像では下半分、輪列受け部分にピントが合っていますので、花や葉の彫刻柄をしっかり確認できるかと思います。光の反射で彫りの凹凸が際立っています。

 一連の組立て作業の画像で、部品一つ一つの形状が模様通りになっているのがわかります。特に2・3・4番車とテンプ受けの形はユニークで美しいです。

筒車等を設置。

文字盤を取付け、針を取付けます。


 外観は古くオーソドックスなシリンダー鍵捲銀懐中ですので、機械を見た人はやはり驚くと思います。懐中に感心のない人でもこの時計には興味を持たれるのではないでしょうか。

■ サイズ・重量 ■

巾 49.84 o

重さ 74.4 g

 上にも書きましたが、部品の画像を特記として別のページにUPしようと思います。このページからもリンク予定です。→特記:機械画像

(2010.H22.08.21)


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