三銘堂TOP  時計画像 OH手順表 作業道具 覚え書 HPの記述 画像掲示板 直売 LINK 書籍

 (「面白かったよポン!」的な応援ボタンです。店主が元気になるという効果があります。)
商館時計 JOHOREマーク 銀無垢 ■

メーカー:JOHORE
1897年? スイス製 16石
オープンケース 800銀無垢
リューズ捲き ダボ押し時合わせ
表・裏蓋蝶番式 中蓋ガラス枠嵌込式



 「JOHORE」とマークのある商館時計です。サイズやリューズ回り・提環鍔の形状などから1897年時計史年表:明治30年)を挟んで5年前後頃のものと思われます(推測)。機械も、以前当HPで扱ったコロン トリプルカレンダーの機械と比べてほとんどが同じ配置になっています。

 文字板にマークのある商館時計は豪華な趣きがあります。この「JOHORE」という寅マークをもつ商館時計はたまに見かけますが、大変面白く興味をそそられるマークですので一体何のマークか?と気になっておりました。

 商館時計とは、主に明治時代に外国の貿易商館(商社)が扱った、日本向けの大型銀無垢懐中の事をいいますが、当時国内にはこの外国商館と直取引して卸小売りをしていた時計店があり、その屋号や店主名を独自の商標マークにして、扱った時計の機械・文字板・蓋内側に入れていました。この寅マークは大阪心斎橋「北出作治郎商店(一時期日の出マークのボンボン時計を製作していた)」の商標との事です。

 この個体は全体的な状態も良く、長短針には3つの飾り石がきちんと残っていて、文字盤・ケース・ガラスのダメージも軽めです。時合わせのダボ押しも指の腹で軽く操作出来ます。また機械の調子も大変良く、文字板上の姿勢では+60秒以内(実質30秒程)、1日持ち歩いても+90秒以内に落ち着いていました。

 勿論古い機械ですので誤差も出るので実用向きではありませんが、コレクションアイテムとしては充分に良状態であると思います。

■江東区・K様よりご考察をいただきました。(2012.08.24)

 この商館時計は「北出作治郎商店」のものとのことですね。虎のマークがあることから、JOHOREとは、マレー シアのジョホール州ではないかと推察します。私は旧帝国海軍艦艇の考証をいろいろ研究しているものですから、「JOHORE」が旧帝国海軍ともなじみの深 いマレーシアやシンガポール方面とすぐに結びついてしまいました。

 マレーシアは虎の生息地として昔から世界的に有名で、太平洋戦争時にはマレーの虎・山下奉文陸軍大将 の威風堂々ぶりや怪傑ハリマオ(ハリマオというのはマレー語で虎のこと)が名を馳せました。北出商店として は、「虎は千里往って千里還る」の格言どおりビジネスに勢いをつけたかったのかもしれません。

 戦前は南洋や仏印はエキゾチックで、しかも天然資源の宝庫ゆえ、商社としては進出したい地域だったように 思います。当時の日本人にとっても、ジョホール州やジョホールバール(州都)は疎遠ではなかったようです。

 なお「JOHORE」は古い言葉らしく、20世紀に入ってからは「JOHOR」と「E」を省略して記述しているようです。でも、州都のジョホールバルに行くと、「JOHORE BATTERY」「SINGAPORE-JOHORE EXPRESS」のように地 名や会社名に残っています。



■ 外観 ■

典型的な外観の商館時計です。

文字板の商標と針の飾石の反射が豪華です。

裏蓋の状態やナナコ模様も最高です。

裏蓋オープン。ガラス越しに機械が見えます。

JOHOREの寅マーク。

拡大。結構リアルな意匠ですね。

 機械全景。機械表面に装飾は無くシンプルですが、その分厚みと高さのある穴石枠や、大きく赤い2番車穴石が豪華です。サイズも55mm・117gのビッグサイズで大変見応えがあります。
 

こちらはコロントリプルカレンダーの機械。石枠や表面装飾など細かい差はありますが殆ど同じ配置です。

別の角度から見ると表情が違ってきます。この画像↑もイイ感じ。

 洗浄・組立 ■

入手時は不動で長針が外れていました。

文字板のマークも煤けてます。

分解。文字板に欠けがあります。

洗浄中。

ケースを念入りに磨きます。

プレート側ガンギ車・4番車にも穴石があります。

58993

8859 68

香箱・リューズ回り・押さえを取付。

角穴・丸穴車を取付。

3番車・押さえを取付。

四番車・押さえを取付。

ガンギ車・押さえを取付。

ザラ回しを確認。よく回ってます。

バランサー付のアンクルを、

取付け。

テンプを。

組立て

文字板側のテンプ石セットも取付け。

テンプ取付。元気良く動き出しました!

文字板側に筒カナと、

筒車・中間小鉄車・針座を設置。

文字板・針を取付け、ケースへ。

文字板外周にセト欠けがります。

補填剤で埋めます。

埋め部分拡大。枠に隠れる所なんですけどね。

 商標の入った文字板、針の飾石、そしてケース・機械・提環・リューズ・時合わせ操作など、全ての状態が平均以上の充実した商館です。大型ですので見応えもあり、重量感もずっしりです。所有満足度の高い逸品です。

■ サイズ・重量 ■

巾 56.19 ㎜

重さ 117.2 g

(2012.H24.6.22)

ページの最初に戻る


三銘堂TOP

時計画像

OH手順表

作業道具

覚え書

HPの記述

画像掲示板

三銘堂直売

LINK

書籍