時計によって構造が違うのでどの時計にも手順がそのまま当てはまる
わけではありませんが、おおよその参考になるかと思います。

文中細々とした注意書きがあります。これは不慣れな時期のメモ書きです。
時計に対する新鮮真摯な気持ちを忘れないため、また初心者の方にも
役立つかと思い記してみました。教材は19セイコー懐中時計です。
分解−洗浄−注油組立 の流れになっています。

■分解■
■ムーブメント・針の取り外し
前準備 作業前に時計の状態をよく確認して覚えておく事。組立後の正誤の判断材料として重要となる。特にネジ巻きや時送りの際の手応えや針の動き、テンプの音等。またあらかじめ時間を12時ジャストに合わせておきます。
裏蓋を外す 時計をしっかりホールドしコジアケの歯に親指を添え安定させて本体とフタのスキマに押し込みます。スキマが見えにくいときはキズミで探します。キズを付けやすい作業なのでここは慎重にいきます。
ムーブメントの止めネジを外す ムーブメントと側を止めているネジ2本を外します。
リューズを抜く リューズ止めネジを一回転半程緩める。
表ガラス蓋を外す 裏蓋外しと同じ様に表ガラス蓋を外します。外したガラス蓋はキズが付かない場所に仰向けにして置く。
ムーブメントを外す ガラス蓋側(針側)から外す。秒針を痛めない様に注意。ムーブメントを持つ時くれぐれもテンプを押さえつけない様に注意。外したムーブは一旦作業台の上に置く。
リューズを入れる リューズを入れ、止めネジを締める。
針を12時にする リューズを引き針を12時ジャストに合わせ直す。19セイコーは秒針ストップレバーがあるのでリューズを引いたままにしておき秒針を12時位置で止めておく。
秒針を抜く 剣抜きを針の下から流し込む用に入れ、ツメが針の両側に掛かっている事をキズミで確認しながら秒針を抜く。乱暴に抜くと4番車(秒針車)の真が折れるので繊細に。文字板にキズを付けない様に薄紙等をかませる。
分針を抜く 同じく薄紙をかませて。キズミで剣抜きの両ツメが抜こうとしている分針を掴んでいるか確認しながら。
時針を抜く 同様に時針を抜く。リューズを押し戻しておく。
文字板を外す ムーブメント側面の文字版止めネジ2本をゆるめ文字版を外します。文字版裏の針座(薄い金属製ワッシャ)や筒車を一緒にくっつけて落とさない様に注意。外した文字版は表ガラス蓋の上に置いておく。
針座を外す 薄い金属製ワッシャで文字版の裏中心時分針の真にあり、上向きに反っている。文字版にくっついてくるのでなくさない様に注意。
筒車を外す 筒車(時針)を外す。
■輪列側の分解
ムーブメントをホルダーに固定する 針・文字版を外したムーブをテンプ側を上にしてムーブメントホルダーに固定する。
分解前の確認 ムーブメントの様子をよく確認しておく。全体的な部品の配置・汚れ具合・各輪列真の油の状態など。テンプの振れ具合・ヒゲ棒へのヒゲの入り方(内当たり外当たり両当たり)は特によく見ておく。
ゼンマイをほどく リューズを僅かに回して角穴車のコハゼ(ストッパー)をドライバーで歯車のツメから外しながら、指を角穴車に当てて滑らしながらゆっくりゼンマイをほどく。一気にほどくと歯車が欠ける恐れがあります。
テンプ押さえ+テンプを外す テンプ押さえネジを外し、押さえの溝(スキマ)にドライバー先を入れて持ち上げる。テンプ押さえを持ち上げる時テンプのヒゲを伸ばさない様に注意。押さえを外したらテンプを上にして置いておく。テンプはまだ外さない。
アンクル押さえを外しアンクルを取る 同じくアンクル押さえのスキマからドライバーで浮かせて外す。アンクルはサオ部分をピンセットで持つ事。
ガンギ押さえを外しガンギ車を取る ガンギ車は柱部分を持つ事。歯車の上下を確認しておく。隣の4番車は裏側(文字版側)真が長いのでまだ外れない。
角穴車を外す 角穴車を押さえながらネジを外す。ワッシャも外す(光沢のある方が表側)。
丸穴車を外す 丸穴車のネジは逆ネジ(逆回転外し)になっている。(ネジの頭の溝が3本の物はほぼ逆ネジ。色付きのネジもたまにある。)ワッシャも外す(光沢のある方が表側)。
コハゼを外す 角穴車のストッパー。ネジ穴の凹みが上になる。バネも外す。飛ばさない様に注意。
輪列受けを外す ネジ(3本)は長短あるので場所を覚えておく様に。
リューズを抜く リューズ止めネジを一回転半程緩めてリューズを抜く。
キチ車・ツヅミ車を取る まだ裏側にカンヌキが掛かっているので飛ばさない様注意。この2部品は時送り装置の部品だが19セイコーの場合この時点で取っておく。
秒針押さえレバーを取る リューズから4番車へ掛かっている平細長い部品。輪列押さえのミゾ内でリューズに連動している。リューズを引くとレバーも上がり4番車の突起に当たって秒針が止まる仕組になっている。
香箱を取る ネジ巻きのバネが納めされている。ここでは無理にバネまで取り出さない。
3番車・4番車を取る 歯車の上下を確認しておく(真の長短)。2番車は反対側に筒カナが付いているのでまだ外れない。
■文字版側・時送り装置の分解
ムーブメントを裏返しホルダーに固定する 同じ様に部品の配置などを確認しておく。
筒カナを四ツ割で抜く 2番車の真を曲げない様に四ツ割の取り扱いに注意。裏側の2番車も外れるので落とさない様に。抜けにくい場合は丈夫な曲線ピンセットで筒カナの凹凸を利用するとうまく抜ける。
テンプ受け石を外す 地板側のテンプ受け石。平べったい片凸面のルビー。ネジ(2本)は非常に小さいので飛ばさない様に注意。
裏押さえを外す オシドリとのかみ合わせを外してから。ネジ(1本)を外す。
カンヌキ・カンヌキバネを外す カンヌキバネを飛ばさない様に注意。
小鉄車・中間小鉄車・日ノ裏車を外す それぞれの場所・歯車の表裏(面取りの有無)を確認。
オシドリを外す リューズ止めネジを外して取る
■テンプ部品の分解
確認事項 テンプを上にしてテンプ受けを水平に持ち、テンプの状態(特にヒゲの振動の具合)を確認する。油で汚れている場合震え方が鈍く、テンプの振り角が減少し時計の進みの原因になる。テンプは時計の心臓部であり大変デリケートな部品かつ部品も微細につき細心の注意を払う事。特にテンプホゾの破損・ヒゲの変形は×。テンプ回りの作業は常にキズミで確認しながら行う事。保持しにくいためネジ作業などドライバーを滑らせない様に注意。
テンプのヒゲ持ちを外す ヒゲ持ちネジを緩め(2回転程)ヒゲ持ちを外し、テンプを取る。19セイコーはブレゲ巻上げヒゲを使っていて、精度が出やすい。
テンプ受け石及び緩急針を外す テンプ押さえの受け石を外す。止めネジ(2個)は非常に小さいので飛ばさない様に注意。緩急針を止めているネジは思いの外扱いにくい。